紅玉りんごのタタンケーキ
りんごの皮で淡い茜色に染まったジューシーな紅玉りんごのコンポートと
アーモンド粉入りの香ばしいバターケーキ生地を組み合わせました。
紅玉りんごが出回る秋の一時期ならではの素朴なケーキです。
短い秋の夕焼け空のように鮮やかでありつつ柔らかな、秋茜色をしたこのケーキ。
お楽しみいただけましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
【※このケーキは、店内でのお召し上がりのみとなります。】
【※今期の杏仁豆腐は、終了いたしました。】
(裏話が長くなってしまったので、下記はパタンと折りたたみ……)
りんごは大好きな果物のひとつですが、中でも紅玉は、とりわけ好きです。
店先で小ぶりで真っ赤なコロンとしたこの形を見かけると、自然足は止まり、
ひゅわっとテンションが上がります。(梅と紅玉は、私的二大季節大好物です。)
いろいろあって、もう店で「ケーキ」をお出しするのは諦めよう。と思っていたのに、
仕入れの際にとても美味しそうな紅玉りんごを見かけて立ち止まらずにはおられず、
製菓屋心と食いしん坊心(どちらが強いかはご想像にお任せします)に背中を押されて
どうにも我慢しきれなくなり、とうとう焼いてしまいました。(…と、言い訳。)
「タタンケーキ」は、「タルトタタン」からの拝借造語です。
タタン姉妹の失敗(諸説あるようですが…)は、お菓子の偉大な発明のひとつだと思います。
ご存知の通り、ジューシーなりんごは火を通すとまた違ったおいしさが生まれます。
つやつやにキャラメリゼされたものも、生のまま焼いたシャキシャキ感も好きですし、
サクサクのタルト生地やパイ生地と合わせてもおいしいものですが、私は
コンポートとホロっとしたバターケーキ生地を合わせるのがとても好きです。
この組み合わせ、もっと流行ったらいいのになぁ。と密かに願っていたりします。
(確かに日持ちしませんし冷凍も向かないので、売り物としては作り手泣かせなのですが…;)
このケーキも、焼き上げてから上下をひっくり返してお出しする、
アップサイドダウンケーキの一種。
りんごと生地の間の部分はちゃんと焼けているか。型を外す時に崩れないか。
毎回色々ドキドキしながらひっくり返す、ちょっとスリリング(?)なケーキ。
その分、きれいに抜けたときはりんごも喜んでくれているような気がして、
なんとなくホッとします。
この秋は、あと何回焼けるだろうか。
入っていらっしゃってすぐ、「あ、今日はケーキがあるんですね。じゃあこれと…紅茶で」と、
流れるように滑らかに注文してくださった常連さんと紅玉のおいしさを語りつつ、
ふとそんなことを考えました。(いつもありがとうございます♪)
無理はせず、けれど、おいしいものはちゃんとおいしくいただきつつ。
旬の食材ならではの楽しさや魅力も、大切にしていきたいな。と。