十日目の覚え書き。

 

9月14日の正式開店から数えて、今日が十回目の営業日でした。

そして今日は、初の閑古鳥歌う日(お客様ゼロ)となりそうな一日でした。

いつも午前中は割合お客様が少なく、午後のご来店の方が多いのですが、

今日は一時を過ぎても二時を過ぎてもパタリともコトリとも音沙汰なく。

これはとうとう、話に聞いていた「ゼロの日」到来かな。と、思いました。

 

隣の高校の屋上でのんきに鳴き続けるカラスの声を聞くともなしに聞きつつ、

窓を拭いたり出入り口を掃いたり、グラスを磨き直したりして…もうすぐ三時。という頃。

最初の頃から度々来てくださっている女性のお客様がお一人、ふわりとおいでになって。

「いらっしゃいませ」と声に出しつつグラスを置きつつ、そのとき自分自身の心持ちが

考えていた以上にホッとしていること、嬉しいこと、喜んでいたことに気付きました。

 

(※長文になったため、以下折りたたみます。)

 

 

当分心配のない潤沢な資金があったり道楽でやっているのでない以上、

大店でも個人商店でも、ご来店がなければ早晩続けることは難しくなる。

あたりまえのことで、分かっていたつもりで、覚悟していたことですが、

改めてすとんと腑に落ちて身に沁みた一日でした。

 

その一方で、二輪車のもう片方のように、両天秤のように大切なこととして

尊敬する店のご主人方が、異口同音に(しみじみとあるいはさらりと)仰っていたのが、

店を、誰よりも店主自身が一番大切に冷静に観察し、育てて(共に育って)いくこと。

周囲のアレコレを細かく気にしすぎず、自分の中に経営の芯をしっかり持つこと。

(成長と変質は全く異なり、ひとの言葉や態度や情報に、あまり揺らぎすぎないこと。)

そのふたつ。

 

恥ずかしながら、まだまだ右も左もニーズもよく分かっていない、当店と店主。

「ここがうちの店の芯。」と考えているところはひそかにハッキリとある(※)ものの、

経営に関しては内心いろいろ迷ってばかり、ゆらゆらわたわた、落ち着きとは程遠い日々です。

お会計を終え、お帰りになるお客さまを「ありがとうございました」とお見送りするたび、

諸々至らず内心申し訳ないこと多々のこの10回(プレオープンを含めると12回)でした。

(※十年以上ちゃんと店を続けて、恥ずかしくなく言えるようになるのが、当面の目標です。)

 

けれども本当におかげさまで、何とか今日の十回目まで、ご来店ゼロの日無く来られました。

しかしいずれは、ゼロの日も来る。その日は必ず、間違いなく、来ます。

その後、ゼロの日が増えていかないように。ゼロの日に馴れてしまわないように。

 

来てくださるお客さまお一人お一人に、ホッと過ごしていただける場所となれるよう。

本と読書と、ひとりの時間がお好きな方に、いつ来たときでも心地良い店であれるよう。

地味に地道に、精進していきます。

 

もしお近くにお越しの際には、お気軽にお立ち寄り下さい。

あたたかい飲みものとささやかなおやつをご用意して

お待ちしております。

 

一日でも長く、そう言い続けられるように。

来年の9月14日までの、まず、最初の一年。

がんばります。

 

 

…以上。

改めて襟を正す思いだった十回目の営業日の覚え書き、でした。

(長文乱文、最後までお読みくださりありがとうございました。)

 

 

 


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